コンテンツへスキップ

顧客ニーズの洞察は「不の字」から!

人を笑顔にするマーケティング! Vol.1

顧客ニーズの正確な意味を理解する

マーケティングの第一歩は、顧客ニーズを洞察して、ニーズを満たす価値を提供することです。私たちは「顧客ニーズを捉えて・・」という言葉を良く使いますが、実際には「顧客ニーズの意味合いを正確に理解していない」ケースが非常に多く見られます。

例えば「炎天下の砂漠をさまよう、汗だくでフラフラになっている男性が居ます。この人のニーズは何でしょう?」と言う質問をすると、多くの方は「水」と答えます。長くマーケティングや広告宣伝を担当している方でも、そう答えるケースは多いです。結論から言うと水は「ニーズ」ではなく、水は「ウォンツ」です。

ニーズは「欲求」と訳されます。欲を求める、言い換えれば現状と理想的状態の間に介在するギャップがニーズです。この場合は「喉がからから=現状」、「喉の渇きが潤う=理想的状態」ですから、この間にあるギャップは「喉の渇きを潤したい=ニーズ」と整理出来ます。

そして水は、「喉の渇きを潤したい=ニーズ=目的」を満たす「ウォンツ=手段」です。顧客は水に対価を払っている訳ではなく、喉の渇きを潤したい欲求に対価を払っています。これが顧客ニーズの本質であり、売り手は「ニーズ」の正しい理解の上で、ニーズを満たす価値を創り出し、提供をする事が顧客獲得、ビジネス成功のポイントとなります。

顧客ニーズは「不の字」探し

顧客ニーズの発見ですが、一つの定石があります。それは「顧客ニーズは不の字を探せ!」です。先の水の例でもお分かりのように、ニーズは「不の状態」です。「喉が渇いて水分が『不足』、その結果歩くのも『不自由』、もしかして死んでしまうかもという『不安』」と、不の状態である事が分かります。これが顧客の気持ち、顧客視点の考え方です。

往々にして売り手側は水(=ウォンツ)を売りたいので、水の機能・他社との違いなどを訴求しがちです。決して間違いではありませんが、その機能や他社との違いは顧客ニーズを捉えているか?と言う本質を考えてほしいのです。

不の字は様々で「不足・不便・不利・不明・不在・不安・不自由・不格好・・」その発見が第一歩です。

モノやサービスが飽和しても「不」は存在する

ここで一つ疑問を持たれる方が居るかもしれません。それは「不の字解決」と言うと、マイナス状態を解決すると思いがちであり、モノやサービスが飽和している今日の日本の社会で「不の状態=マイナス状態」があるのか?という疑問です。

しかし日常生活での「不」はいっぱい存在します。ちなみ私はスポーツクラブに、これまで何回かトライしましたが、一人でストイックに続けることが不自由・不満であり続かなかったのですが、以前入会したクラブは予約制のグループレッスンで、コーチと皆で行う達成感が心地良く、私の「不」は解消されて続けられそうに感じたのです。このように顧客視点に立脚すると、不の字はいろいろ存在します。

最近では不の字のことを「ペイン(痛み)ポイント」と言って、「お金を払ってでも解決したいと考えている悩み」と解釈しています。人の悩み、つまり「不の字」があるところには、必ずニーズがある訳ですね。


株式会社ワントゥワン
顧問 / 鈴木 準